モバイルハウスのつくりかた

 
昨日渋谷ユーロスペースで、坂口恭平さんについてのドキュメンタリー映画「モバイルハウスのつくりかた」(本田孝義監督)を観ました。
坂口恭平さんは「独立国家のつくりかた」という本を書いた、今僕が一番興味のある人です。
モバイルハウスとは、ホームセンターで27,000円で買った材料で作る小さな家のことです。下に車輪を付けることで、不動産ではなく動産になり、駐車場や休耕地に駐車することで、家賃や土地代を激的に抑えることができるのが工夫です。
 
坂口さんが、多摩川の河川敷に住む船越さんの指導を仰ぎながら、モバイルハウスを作る様子を撮影したのがこの映画です。
材料を揃えて、建物を一から作るのがとても楽しそうで、自分も子供の頃秘密基地を作ったことを思い出しました。
坂口さんは住宅建築について、昆虫や動物が巣をつくるイメージを大切にしています。そして、他の動物はそうではないのに、人間だけは生活するのにお金が必要という現代の常識に違和感を抱いています。
 
僕も日本の貧困やワーキングプアの問題を考えた時に、衣食住の内、衣は今ほとんどお金がかからない、食もやり方次第で抑えられる、しかし、住いわゆる家賃の問題が一番のネックで、この分野にブレイクスルーが必要だと常々感じていました。それなので、坂口さんの住宅に対する考え方を聞き、そのことに、一つの鮮やかな答えをもらったようで、膝を打つ思いでした。
もう一つ、僕はこの映画を観て、ホームレスの人に対する見方が一変しました。この映画に出てくる鈴木さんと船越さんは、卑屈さはなく飄々と自然の中に生きて、生活の智恵を持っている人達でした。物が増えすぎて、断捨離や持たない生活がもてはやされる今、彼らこそその先端にいるのではとすら感じました。動物はみな自由に大地に海に生きています。多くの人はホームレスの人達を見て、人間らしい生活ではないと思うかも知れませんが、彼らからみたら僕達こそ家賃やローンに縛られているように見えるかも知れません。
 
坂口恭平さんはこの映画の撮影の後、震災に遭って熊本に避難し、新政府を樹立します。非常に魅力のある人で、僕は彼に坂本龍馬の匂いを感じています。
視界が開けるような、色々な気付きを与えてもらった映画でした。
 
坂口恭平、初のドキュメンタリー映画『モバイルハウスのつくりかた』